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限界近づくIT人材の獲得競争、「斜め上」の対処法とは? - ITpro

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 「IT業界の新卒採用の勢いがすごいですね」。IT系専門学校の講師を務める知人はやや驚いた様子でこう話してくれた。

 IT業界の人材不足は以前から続いている。ただ、昨年から潮目が変わったというのだ。以前は運用担当やプログラマーなどの求人が多かったが、今は2次請けクラスの企業からSEとしての求人が明らかに増えたという。

IT人材の求人が拡大している

IT人材の求人が拡大している

(出所:123RF)

 背景にあるのはDX(デジタル変革)需要だ。新型コロナウイルス禍でデジタル化の遅れが浮き彫りになり、業務の効率化や顧客接点の強化に乗り出す企業が増えている。新事業の開発などでは従来のIT予算とは別枠で事業部の予算を執行することも多い。その結果、案件の数も規模も増加の一途をたどっている。大手SIerは人手が足りず、受注残を積み増している状況だ。

 旺盛な需要に対応すべくSIer各社は新卒採用、中途採用ともに採用数を増やしている。大手からの案件を請けるために2次請け以降の企業も採用を拡大していることが冒頭のエピソードから分かる。

 とはいえ人材獲得には各社とも頭を悩ませている。限られた人材の争奪戦が起こっているためだ。ある大手SIerの広報は「新卒も中途も以前より増やしているが、退職者もいるので総人数はそれほど変わっていない」と話す。

顧客とIT人材を取り合う状況

 争奪戦の相手は競合のSIerだけではない。SIerにとっては顧客であるユーザー企業もDXを進めるためにIT人材の中途採用を強化している。顧客のDX需要に応えるため人材を増やそうとしているSIerが、当の顧客と人材を取り合っているという奇妙な現象が起きているわけだ。

 このほかITコンサルティング企業やネットサービス企業、スタートアップなどもSIer経験者を欲しており、SIerの技術者はより好条件な企業へ移りやすい。

 パーソルキャリアの転職サービス「doda」が毎月公開している「転職求人倍率レポート」では「技術職(IT・通信)」の求人倍率が2022年9月以降10倍を超え、全職種平均の約2倍を大きく上回っている。1人の転職希望者に対して平均で10社以上がオファーしている計算だ。

 そこでSIer各社はあれやこれやの策を講じて採用と社員のつなぎ留めに動き出している。典型例は魅力的な職場環境の整備を含む待遇改善だ。TISは2023年4月に人事制度を刷新するとともに基本給を平均で6%、最大で17%引き上げた。大塚商会は2022年7月に正社員の基本給を一律1万円引き上げている。

 一度退職した社員の復帰を歓迎するアルムナイ制度を取り入れる企業や、タレントを起用したテレビCMなどで知名度の向上を図るSIerも増えた。

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